-研究番号:11-着ているのを忘れるくらいの進化したウェットスーツの開発




これまでS.C.S.の加工は表面が平らなゴムにしか施すことが出来ませんでしたが、技術や機械の進歩もあり、表面に凹凸のあるゴムにも施すことに成功しました。その技術は開発コード「AFS」が名づけられました。


これまでの表面が平らなゴムでは、皮膚との間で摩擦が大きく、着脱しにくいため、昔では洗剤などを使って滑りをよくして着用することもありましたが、AFSを内側にした場合(=皮膚側)、水や潤滑剤が無くてもスムーズに着脱することが可能になりました。



一般的な紙を引いたボードの上に表面が平らなゴム、表面にナイロン繊維を貼ったゴム、表面にAFS加工をしたゴムを置き、ボードを徐々に傾けて坂状にする簡易的な実験をしても一目瞭然でした。

表面が平らなゴムは斜度71度になるまで滑り落ちず、ナイロン繊維のものは21度、AFSは23度で滑り落ちました。つまり、AFSは一般的に使われているナイロン繊維の表面と同じくらい摩擦が小さいのです。にも関わらず、ナイロンなどの繊維のように水を吸わないという優れた加工技術ということが分かります。
さらにゴム表面が凹凸である利点は、へこんだ部分と皮膚との間に空気のスポットが出来ることです。それは温度調整がしやすいというメリットへも繋がります。
ヒトの皮膚というものは非常に柔軟で3次元に自由に伸び縮みをします。薄くて伸縮性のある素材であれば、違和感なく体を動かすこともできます。そのような肌着をみなさんも着用されたことはあるかと思います。
しかし、ある程度の厚みのある素材で3次元の伸縮性を実現するのは、非常に難しい部分はあります。ウェットスーツ素材は保温性が求められ、厚みが必要になりますが、AFSでは、数多くの空気のスポットが出来ることで、皮膚の可動に合わせて、ゴムの可動が最小限で済むことになり、皮膚へのストレスも軽減されます。
